腰痛のトリガーポイント

治療院のメニューといえば、腰痛と肩こりが中心といっても過言ではありません。

どちらも、整形外科が扱わない、病気としてみなされていない領域、不定愁訴を対象としています。

整形外科が病気として認めていないのですから、この領域は実はまだまだわからないことだらけで、

腰痛・肩こりの理論的な基礎付けさえなされていないのが実情だと思われます。

腰痛については、これまでもいくつものレポートを書いてきました。

ますます明らかになってきたことは、腰痛の原因、

腰痛を引き起こしているトリガーポイントは、

腰ではない、

ということです。

腰に痛みをだしているのは、体幹・腰を支えている、「手」と「足」だということです。

そしてここにきて、あらたに、もうひとつのポイントが明らかになってきました。

また、そういう患者さんが続いております。

そう、体幹からはみ出ているもうひとつの部位、

首と頭です。

首と頭のコリ、ここにできたコリ・トリガーポイントも十分、腰痛を引き起こし、

さらには、急性腰痛、いわゆる「ぎっくり腰」までも引き起こすということです。

そんなことに気づかされた臨床レポートを書いてみます。

朝、目覚めたら動けない

「今朝起きたら、腰が痛くて動けない」ということでご来院いただきました。

なんとか、当院までは動ける状態にまで回復してからご来院いただきました。

けれども、靴をぬいでもかがむこともできません。

いわゆる「ぎっくり腰」の症状といえそうです。

何度かご来院いただいているお馴染みさんですから、さっそく臨床に入ります。

立ったままで動いてもらいます、動診です。

前かがみ(前屈)と後ろ反らし(後屈)をしてもらいます。

前かがみで腰が痛いといいます。

痛みの部位はここです。

ここから横のラインです。

骨盤・腸骨稜に沿ったラインに痛みがでます。

前かがみで腰が痛くて、

腸骨稜に沿って痛い。

この二点が特徴です。

動き・動診からわかること。

痛みが出現する部位からわかること。

この二点に合致する腰痛は、これまでの臨床例から判断して、この方のトリガーポイントは首から上にあるだろうと想定できます。

首を動かしてみます。

すると、「首も痛くて動かないんですよ」といいます。

確かに、左右のねじりも、横に倒す動作も可動域制限が出現します。

さっそく首に触れます。

頸椎の横突起です。

やはり、首が動き始めました。

さらに頭部を触れます。

もう耳がカチカチに固くなっていることが伝わってきます。

これはもう耳からもみほぐしていきます。

かなり痛みを伴います。

耳を左右に外にひっぱったり、

耳朶をクニュクニュしてみます。

どちらもかなり痛いはずです。

これで、立ってもらい、前かがみしてもらいます。

まだ、腰に痛みはでますが、可動域制限はだいぶ緩和されてきています。

動けるようになってきました。

成果がでましたので、これは続行です。

首と耳に触れて、もみほぐすだけでも、腰の痛みが緩和されます。

お尻のコリをほぐし骨盤矯正です

だいぶ腰の痛みは緩和されてきましたが、まだ立位で前かがみすると、骨盤の上のへりに痛みが出ます。

仰向けになってもらい、両膝を立てて、左右に倒してもらいます。

この動診では腰に痛みはでません。

そう、この首にトリガーポイントがある場合の腰痛では、この膝倒しの動診では腰に痛みは出現しません。

側臥位になってもらい、お尻を触れますと、やはり、お尻がカチカチに張っています。

お尻の筋肉群をもみほぐしながら、骨盤矯正をかけていきます。

これで、再び立位での前かがみの動診をしてもらいますと、先ほどより、さらに腰痛は改善されてきました。

痛みの出現はゼロとはなりませんが、日常生活でを送るうえで支障のないレベルまでは回復してきました。

聞けば、遠方まで長時間、車を運転して親戚のお見舞いに行ってきたということです。

なるほどです。

長時間、車を運転したことで、お尻が車のシートに圧迫され、さらに、座る姿勢がおのずと、骨盤の後傾を形作ってしまいます。

このことも、今回の腰痛、ぎっくり腰の一因といえそうです。

この腰痛についての私的な見解

ここのところ、首がトリガーポイントとなって、腰痛をひきおこしている患者さんが続いております。

おかげさまで、私なりの首にトリガーポイントがある場合の腰痛の考え方がまとまってきました。

ポイントは二つあります。

ひとつは、骨盤の後傾。

もうひとつは、首の前傾ということです。

早い話が、「猫背」ということです。

骨盤が後傾しますと、

腰方形筋にテンション、筋緊張が生じます。

このことは、骨盤の上ヘリと肋骨との距離を考えると理解できます。

骨盤が後傾すると、腰方形筋が引っ張られます。

例えば、この骨盤の後傾による腰方形筋の張力が、痛みを出現させるマックスまで引っ張られたと想定します。

ここまで、引っ張られてしまうと、あとは、ほんのちょっと、腰方形筋にテンションがかかる動きが出現するだけで、

「ズキン!」という、「ぎっくり腰」のような激痛が走ってもおかしくはありません。

その「引き金」をひいたのが、目の疲れからくる、頭皮の固さ、緊張であり、

さらに耳の固さであろうと、私は考えます。

ですから、頭皮をもみほぐしたり、耳をひっぱったりしただけで、腰に痛みが走らなくなったのでしょう。

このように、骨盤の後傾と腰方形筋の関係がわかってくると、腰痛のメカニズムがいろいろと理解できてきます。

と、私は思っております。